仕事や、自分が情熱を注いでいることに真剣に向き合うほど、成果や効率を優先し、「遊び」を後回しにしてしまうことがあります。
けれど私は、長く前に進み続けるためには、人生に遊びが必要だと思っています。
自然に触れること。文化や歴史を知ること。これまで会わなかった人と出会うこと。大切な人と、目的のない時間を過ごすこと。そうした時間は、仕事から離れるためだけのものではありません。自分の判断を整え、誰と、どこへ向かいたいのかを確かめ直すための余白になります。
Travelerは、そんな遊びを、人生の中に取り戻していくための場です。
Travelerという場をつくった理由
私は、人生を楽しめることは、最高の贅沢だと思っています。
ここでいう「楽しむ」とは、気晴らしや娯楽に時間を使うことではありません。自然に触れ、芸術に心を動かされ、土地に積み重ねられた歴史を知ること。これまで会わなかった人と出会い、自分とは異なる価値観に触れること。そうした経験を通じて、自分の世界の見方が少しずつ広がっていくことです。
そして、その喜びは、自分一人の中で完結するものではないと思っています。
大切な人と楽しむ。友人と楽しむ。仲間と楽しむ。
何をするかは、実はそれほど重要ではありません。遠くへ旅をしてもいい。近くの街を歩いてもいい。一緒に食事をするだけでもいい。同じ景色を見て、同じ時間を過ごし、「あの時間はよかったね」と言い合える。
その時間そのものに、価値があります。
大切なことを続ける力は、関係性の中で育つ
私たちは、仕事や、自分が情熱を注いでいることに向き合うとき、つい成果や責任に目を向けます。経営者であれば、組織を守り、事業を育て、社会に価値を提供し続けることが求められます。
けれど、人は成果だけで走り続けられるものではありません。
支えてくれる人がいること。率直に話せる人がいること。うまくいったときに一緒に喜び、立ち止まったときには急かさずにそばにいてくれる人がいること。
そうした、替えのきかない関係性があるからこそ、人は難しい判断を引き受け、挑戦を続けることができます。
使命もまた、個人の内側だけから生まれるものではありません。誰と出会い、誰に支えられ、どのような社会に触れてきたのか。その積み重ねの中で、自分が情熱を注ぎたいことや、果たしたい役割が少しずつ形になっていきます。
社会的な価値も同じです。一人の強い意志だけでつくられるのではなく、異なる経験や専門性を持つ人が出会い、信頼を重ね、それぞれの力を持ち寄ることで育っていきます。
だから私は、人生を楽しむことと、自分が大切にしたいことに向かって生きることは、別のものではないと思っています。
大切な人との関係がその歩みを支え、その歩みがまた、新しい関係や価値を社会の中に生み出していく。人生の豊かさは、そうした循環の中にあるのではないでしょうか。
人生には「遊び」が必要になる
車のハンドルには、「遊び」があります。
少し動かしただけでは、車は大きく方向を変えません。その余白があるからこそ、路面の変化に振り回されず、必要なときには落ち着いて進路を修正できます。
人生にも、同じような遊びが必要です。
予定を詰め、効率を高め、目の前の課題を処理し続けることはできます。しかし、それだけでは、自分が進んでいる方向そのものを見直す余地がなくなっていきます。
旅に出ること。場所を変えること。自然や芸術、歴史に触れること。仕事とは異なる人と会うこと。大切な人と、目的のない時間を過ごすこと。
一見すると、生産性から離れた時間に見えるかもしれません。けれど、そうした時間があるからこそ、自分の前提を見直し、誰と、どこへ向かいたいのかを考え直すことができます。
遊びは、人生を遅らせるものではありません。
むしろ、本当に進みたい方向へ向かうために必要な余白です。
どうでもいいことを、真剣に扱う
私は、マイルやホテルプログラムについて話すとき、「こんなことは、どうでもいいことです」と言うことがあります。
1マイルをどう使えば効率がいいのか。どのホテルプログラムに、どのような特典があるのか。どのステータスを持てば、何が変わるのか。
こんなことをたくさん知っていても、何もすごくありません。
1mmも偉くありません。
知識が多いことと、その人が社会に価値を生み出していることは、同じではありません。どれだけ詳しくても、それを自慢するために使ったり、自分を大きく見せるために使ったり、人より優れていると感じるために使ったりするなら、その知識は自分の中で閉じたままです。
けれど、知識は、使う目的によって価値が変わります。
私は、マイルやホテルの知識は「鍵」のようなものだと思っています。
鍵をたくさん持っていること自体には、大きな意味はありません。大切なのは、その鍵でどの扉を開き、誰とその先へ進むのかです。
家族と旅をする。離れて暮らす友人に会いに行く。仲間と同じ景色を見ながら、普段はできない話をする。両親を、以前から行きたがっていた場所へ連れていく。
そのために使われたとき、マイルやホテルの知識は、単なる情報ではなくなります。会えなかった人と会えるようになり、つくれなかった時間が生まれ、替えのきかない関係性を育てる手段になります。
どうでもいいことを、どうでもよくないもののために使う。
私は、それが遊びの本質の一つだと思っています。
社会的な評価には直結しないことを、誰かのために真剣に扱う。すぐに成果として表れないことに、時間や工夫を注ぐ。その積み重ねが、人との時間を生み、信頼を育て、やがて仕事や社会的な価値にもつながっていきます。
旅を、人生の現実的な選択肢にする
旅や移動を人生の中に置くことは、気持ちだけでは実現しません。
時間のつくり方、費用の考え方、移動手段や宿泊先の選び方を知らなければ、「いつか行きたい」は、いつまでも「いつか」のまま残ってしまいます。
だから私は、Travelerという場をつくりました。
Travelerは、みんなで同じ場所へ旅行するための集まりではありません。マイルやホテルの知識を競う場でもありません。
旅や移動を、人生の現実的な選択肢にするための場です。
マイルの仕組みを知ること。ホテルの選択肢を知ること。時間や費用の工夫を知ること。それらは、目的ではありません。
会える人を増やすため。触れられる文化を増やすため。大切な人と過ごせる時間を増やすため。そして、自分の人生に、これまでなかった選択肢を加えるためにあります。
Travelerが増やしたいのは、旅行の回数ではありません。
人生の可動域です。
行ける場所が増えれば、出会える人が増えます。出会える人が増えれば、見える社会が広がります。見える社会が広がれば、自分の判断や、果たしたい役割も変わっていきます。
旅や移動は、それ自体が目的なのではなく、人生と社会の接点を増やす手段なのです。
人生を加速させるとは
人生を加速させるというと、より多くの成果を出すことや、短い時間で遠くへ進むことを想像するかもしれません。
けれど、私が考える加速は、少し違います。
人生の選択肢が増えること。大切な人との関係が深まること。これまで見えなかった社会に触れること。そして、自分が進みたい方向を、より確かな視点で選べるようになること。
その変化が、結果として、仕事や使命の歩みを前へ進めていきます。
自然に触れること。芸術を味わうこと。歴史を知ること。人と出会うこと。大切な人と、同じ時間を楽しむこと。
そうした経験は、仕事の外側にある余暇ではありません。長く挑戦を続け、社会に価値を生み出していくための土台です。
人生を楽しめることは、最高の贅沢です。
そして、その贅沢を自分一人の中で終わらせず、大切な人と分かち合うこと。そこで育まれた関係性を力に変え、また自分の使命へ戻っていくこと。
だから私は、Travelerを、
人生を加速させる遊び場。
と呼んでいます。
Travelerについて
Travelerは、旅や移動を通して、自分の感覚や判断を整え、人生の選択肢を広げていくための場です。
マイルやホテルの知識を得ることだけを目的にするのではなく、その知識を、大切な人との時間や新しい出会い、自分が情熱を注ぐことのために生かしていきます。
Travelerの考え方や活動については、こちらでご紹介しています。
